
現代の日本人の多くが、快眠とはほど遠い「睡眠の質を下げる」生活習慣を知らないうちにおこなっています。
その結果、年代を問わず多くの日本人が睡眠に悩みを抱えているといわれ、健康や日常生活に支障をきたしている場合も珍しくないようです。
そこで、快眠を遠ざける生活習慣を無意識におこなっていないかを見直してみましょう。
知らないうちに陥りがちな、眠りの質を下げてしまう生活習慣を6つご紹介します。
夜に人工的な光を浴びすぎている
日中は明るい太陽の光を浴び、夜になれば光を浴びなくなるのが本来自然なことです。
昼間の太陽の光とは異なり、夜に浴びるのはすべて人工的な明かりなので不自然なはずですが、当たり前のように浴びているのが現実です。
コンビニの明かり、スマホやパソコン・テレビなどから発せられる人工的な光は、人体にとって非常に強力な刺激となります。
その強力な光を目で受けて脳を刺激し、交感神経を高ぶらせると自然な眠気が起こらなくなってしまいます。
夜に強い刺激を受ける習慣を続けていると体内時計が昼夜の区別がつかず正常に働かなくなり、快眠を得るどころか不眠などの睡眠障害に発展します。
睡眠の質の低下を避けるためには、寝る2時間前までには強い光の刺激から離れるのが望ましいでしょう。
深酒や寝酒
夕食や寝る前などの習慣に、お酒をたしなむという人は多いでしょう。
ですが、アルコールは強い催眠作用をもつ反面、強力な覚醒作用ももち合わせています。そのため、眠りの質の低下を招く大きな原因となるのです。
お酒を飲んでほどなくすると催眠作用によって眠気を催しますが、数時間後には肝臓でアルコールが分解されて発生したアセトアルデヒドという物質が覚醒作用へと転化させます。
また、アルコールの利尿作用によって夜中にトイレに起こされることも多くなります。
お酒は確かに寝入りをよくする効果はありますが、深夜や早朝に目が覚める可能性が高くなるので快眠とは縁遠くなってしまう習慣といえるでしょう。
寝る直前に熱いお風呂に入る
寒い時季では熱いお湯に浸かると気持ちよく感じますが、熱すぎるお風呂は身体の表面だけしか温まらず交感神経が刺激されて寝つきの悪さにつながってしまいます。
また人の体温には2種類あり、体温計で計れる身体の表面の温度と、身体の内部の温度の「深部体温」とに分かれています。
深部体温は夜の眠るべき時間に近づくと下がっていくのが正常で、この働きによって人は眠気を催すわけです。
ですが、42℃以上あるような熱すぎるお風呂に浸かる習慣があると、深部体温が下がるタイミングを失うことになります。快眠のためには少なくとも寝る2~3時間前にはぬるめのお湯で入浴を終えて、徐々に深部体温が下がるようにしておきましょう。
慢性的な運動不足
デスクワークで一日の大半を座って過ごしている人のほとんどは、運動不足といってよいでしょう。さらに、パソコンと長時間向かい合っている人は神経の疲れからストレスが溜まりやすく、それが快眠を妨害している要因でもあります。
人は肉体が適度に疲れていないと睡眠欲求が起こらず、眠気もなかなか起こってきません。
このような生活習慣の人は、意識的にスキマ時間でできるような軽い運動を取り入れる必要があります。
朝のラジオ体操やお昼休憩などに散歩を習慣づけると、身体に心地よい疲れとストレス解消効果が得られ、夜の快眠につながりやすくなるでしょう。
寝る直前のハードな運動
朝や昼間に運動することはよい習慣なのでおすすめしますが、寝る直前の運動は快眠には逆効果となります。
ハードな運動をおこなうと神経を興奮させるノルアドレナリンなどのホルモンが分泌され、感情を高ぶらせたりイライラの原因になったりして寝つきが悪くなってしまうからです。
肉体への負荷の大きいジョギングや筋トレ、サイクリングやボクササイズなどは寝る前におこなうものではありません。最低でも寝る3時間前には終わらせるようにしましょう。
寝床であれこれ考えてストレスを増やす
いわれてみればこれが一番思い当たる、という人は意外に多いのではないでしょうか。
眠りの質を下げる要因において、誰一人として無縁では済まないのがストレスです。
ストレスを受けると交感神経が働いて、脳や身体に緊張状態をもたらします。その緊張は思考の幅をせばめ、頭の中で同じことをくり返し考えたり、起こってもいない不安を呼び起こしたりして自然な眠りを妨げるのです。
あくまで寝床は寝るための場所で、ものを考える場所ではないと自分にいい聞かせましょう。
眠れないときはムリに寝ようとすると、余計に交感神経を緊張させストレスを大きくすることになるので、いったん起き上がってストレッチなどをして緊張をほぐすとよいでしょう。