
「睡眠障害」というと、眠れない「不眠症」を思い浮かべられる方が多いと思いますが、その逆に必要以上に寝てしまう「過眠症」というのもあることをご存じでしょうか?
今回は、この「過眠症」のお話をします。
過眠症ってどんな病気?
まず、「過眠症」とはどのような症状なのか、という説明からしようと思います。
過眠症は、「病気」というよりは体の「状態」を指す言葉で、日中猛烈な眠気に絶えず襲われ、覚醒状態が維持できないことを指します。
ですので過眠症の人は、昼などの明るい間でもしばしば居眠りしてしまうという光景が見られます。
過眠症の人は、夜に十分睡眠をとっているにもかかわらず、昼間しばしば眠気に襲われてしまいます。
また眠気を我慢すると、集中力や持久力が損なわれるため、日中の作業に影響をきたし、効率が落ちてしまいます。
「明るい間でも眠くて眠くて仕方がない」という人は、一時的な眠気や疲れではなく、過眠症が原因である可能性があります。
また過眠症には、昼間の眠気と居眠りを主な症状とする「突発性過眠症」と強い眠気に襲われる時期が3日から3週間ほど持続しこれが不定期に繰り返される「反復性過眠症」があります。数は、突発性過眠症の方が圧倒的に多いです。
過眠症の原因と対処法は?
では、過眠症は何が原因で起こるのでしょうか?
大きく、以下の3つに分けることができます。
- 脳内の覚醒維持機能の異常
自覚症状がある睡眠不足や睡眠障害
自覚できない夜間の睡眠障害
1.は特に睡眠不足の自覚症状はなく、夜しっかりと寝ているはずなのにもかかわらず、昼間猛烈な眠気を催す場合、それを疑った方がよいと思われます。ナルコレプシーや脳腫瘍が原因かもしれません。
2.は夜眠れていないという自覚があり、そのために昼間眠くなるとわかっている場合で、加齢による睡眠障害、月経による睡眠障害、概日リズム障害、むずむず脚症候群などが原因としてあげられます。
3.は1.に似ていますが、1.のように脳の機能に異常があるわけではない場合です。1.と同様に睡眠不足であるという自覚はありません。原因としてはうつ病や睡眠時無呼吸症候群が当てはまるでしょう。
この3つの中で、医学的に正しい意味で「過眠症」といえるのは1.の場合のみです。2.は「過眠症」ではなく「不眠症」であり、3.も自覚のない不眠症に過ぎません。
ところが特に1.と3.は非常に見分けがつきにくいため、実際のところ病名を突き止めることよりも日中眠くなってしまうという状態を解消するためにアクションを起こす方がよっぽど有意義といえるでしょう。
過眠症の解決方法は、原因が何なのかを突き止め、それを治療することに尽きます。これだけが昼間眠くなる問題を解決する道なのです。
最後に
昼間眠気を催す原因が「不眠症」であるならば、不眠症の治療や対策をすればいいだけの話なのでまだ楽ですが、ナルコレプシーの場合は根本から治す方法が確立されていないので大変です。
現在ナルコレプシーの治療で主流となっているのは、「薬物療法」と睡眠日誌などに代表される「生活指導」です。そうやって発作を抑えるしか手がないのが現状なのです。
「過眠症」について、今回の話がみなさんのご理解の一助となれば幸いです。