
みなさんは、自分の「いびき」を指摘されたことがありますか?
「はい」と答えた方、初めてそれを聞いた時はどんな気持ちでしたか?
いい気持ちはしないと思います。
実はこのいびき、周りを不快にするだけでなく、自分の健康さえ脅かされる危険性を秘めています。
今回は、睡眠における「いびき」のお話です。
いびきは放っておくとこんな危険性が!
まず、いびきのメカニズムについて説明しましょう。
人間が呼吸する際、吸った息や吐く息は上気道を通ります。
この上気道の、狭くなっている部分の粘膜が空気抵抗により振動し、これが音になります。
管楽器を吹いた時、空気抵抗でリードが振動して音が鳴るのとまったく同じ原理です。
いびきには、危險な病気が潜んでいることがあります。
まずは睡眠時無呼吸症候群。
名前の通り、眠っている時に呼吸が止まったり、呼吸量が減ったりする時間帯があるという病気です。
影響はいろいろあります。
まず呼吸が止まると脳が覚醒するため、眠りが浅くなります。
熟睡できないと、日中に猛烈な眠気を催し、仕事や車の運転に支障をきたします。
また、睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣病とも密接に関わっています。
睡眠時に呼吸が止まると血液中の酸素の濃度が低くなりますから、動脈硬化や不整脈の原因となります。
また、熟睡できないことにより血圧や血糖値が上昇し、代謝量が落ちるため太りやすくなります。
症状が重い場合、睡眠時無呼吸症候群の死亡リスクは、健康時の約4倍にまで跳ね上がるのです。
睡眠時無呼吸症候群以外にも、潜んでいるかもしれない病気はあります。
中でも怖いのは、呼吸器系の病気でしょうか。
次の章でも書きますが、左右の鼻の穴の仕切りが曲がっている「鼻中隔彎曲症」、鼻の慢性的な炎症により鼻の粘膜が分厚くなる「肥厚性鼻炎」、鼻の粘膜がポリープ状になる「鼻茸症」、副鼻腔に膿がたまる「副鼻腔炎」、扁桃腺が頻繁に腫れる「習慣性扁桃炎」、のどの奥のアデノイドが大きくなる「アデノイド肥大」などがいびきの原因となっていることがあります。
これらは放置すると睡眠時無呼吸症候群になりかねませんので、治療の必要があります。
治療すれば、いびきも止まります。
いびきを解消するにはどうすれば?
先述の通り、いびきは上気道が狭くなることにより発生しますが、原因はさまざまです。
口呼吸…いびきをかいている人の多くは口を開けて寝ている
舌が大きい…舌が気道をふさぐ
のどちんこが長い…のどちんこが気道をふさぐ
下顎が小さい…広い気道を確保できない
首が太くて短い…やはり広い気道を確保できない
鼻中隔彎曲症などの病気…先述の通り
肥満、特に首周りの脂肪の増加…脂肪が気道を狭める
仰向け寝…気道周りが落ち込み、狭まる
鼻詰まり…スムーズな呼吸が妨げられ、口呼吸を余儀なくされる
ストレス、疲労の蓄積…大量の酸素を取り入れようとして口呼吸に。また状態を解消しようと筋肉が弛緩し、気道が狭くなる
アルコールの摂取…筋肉が弛緩し、気道が狭くなる。酔いがさめれば解消
女性ホルモンの減少…舌を支えるオトガイ筋が弱くなり、落ち込む舌が気道をふさぐ
いびきをなくすためには、これらの原因の解消が必要です。
以下の対策が有効となります。
病気のある人はその治療
鼻詰まりのある人はその治療
太っている人は減量
横向きに寝る
寝酒をしない
寝室の湿度を保つ
「いびき体操」を行う
それでも気道が確保できない場合は、マウスピースなどの補助具を使う
寝室の湿度を保つのは口呼吸を防ぐためです。
「いびき体操』とはオトガイ筋を鍛えるための体操で、これにより舌の落ち込みを防ぎます。
最後に
睡眠時の呼吸は非常に大事で、これに関する問題が解消されるだけでも睡眠は大幅に改善します。
「いびき」を指摘されたら、思い当たる原因を探って、お医者さんに相談してみましょう。