
「寝る子は育つ」ということわざがありますね。これは単に昔からの言い伝えではなく、科学的見地からも正しいことといわれています。
そこで、睡眠に対してとくに重要な働きをするのが「成長ホルモン」です。
子供だけでなく大人でも、主に寝ている間に成長ホルモンが多く分泌されます。心身の健康を維持する効果もある成長ホルモンは、子供にだけ必要なものではないのです。
では、年齢を問わず誰にでも不可欠な成長ホルモンには、具体的にどのような効果があるのかをご紹介します。
目次
成長ホルモンが最も分泌されるタイミングとは
まず、成長ホルモンはいつ活発に分泌されるのでしょうか?
結論から書きますと、成長ホルモンが最も多く分泌されるのは、夜の寝ている間です。
人の眠りがとても深くなるのは、就寝後30分から1時間くらいに訪れる最初のノンレム睡眠のとき。
このときが最も成長ホルモンの分泌量が多くなる時間帯なのです。
このため、成長期のお子さんはもちろん、成人以降の大人にとっても「しっかり寝ること」が成長ホルモンを分泌させるために不可欠なのです。
では、次に成長ホルモンの働きがもたらす効果について見ていきましょう。
疲れやケガを回復させる効果
きちんと寝ることによって受けられる恩恵といえば、「疲れが取れた」「すっきりした」などが思い浮かぶ人が多いでしょう。
実際に「よく眠った」というときには身体がすっきりしていて、頭の働きがよくなったと感じることがあるはずです。
これらの現象には、成長ホルモンが関係しています。頭脳活動や運動・労働などの身体活動の疲れのほか、ケガなどで傷んだ身体の組織を寝ている間に修復してくれているのです。
つまり、睡眠中に分泌される成長ホルモンが肉体だけでなく脳の疲れも回復させたり傷を癒したりなどのメンテナンスをおこなってくれているわけです。
「成長ホルモン=子供だけに必要なもの」と思いがちですが、大人になった後の誰にでも欠かせないホルモンなのです。
肌質をよくする効果やアンチエイジング効果
しっかり寝ると肌がつややかになったりハリが出たりと、美肌効果を実感した人もいるでしょう。
寝ている間にたくさん分泌される成長ホルモンは、健康維持や美容にも重要な働きをしています。
成長ホルモンは、身体のさまざまな組織の修復や再生をおこなう働きがあり、肌ももちろんそのうちの一つです。
成長ホルモンが寝ている間の肌の新陳代謝を活性化させたり血行をよくしたりして、肌の不要な老廃物を効率よく取り除いてくれるのです。
その結果、キレイな肌を維持したりシミやシワを改善したりすることにつながるわけです。
ただし、不規則な生活や寝る時間の不足が続くと成長ホルモンの分泌が滞り肌荒れなどのトラブルの原因となってしまいますので、しっかり寝るように意識しましょう。
病気への対抗力をつける・生活習慣病を防ぐ効果
成長ホルモンは、身体組織の修復や再生をする働きがあると書きましたね。
その体力を回復させる作用があるおかげで身体の機能を正常に保ち、菌やウィルスなどの病原体や病気への抵抗力・免疫力をつけることができるのです。
また、寝ている間は成長ホルモンが盛んに分泌されるのと同時に睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンも分泌されます。
質のよい眠りはメラトニンのもつ細胞の抗酸化作用や免疫力の活性作用などを発揮させるので、生活習慣病を防ぐ効果も期待できます。
成長ホルモンを効率よく分泌させるには
実は、効率よく成長ホルモンを出すために特別なことは必要ないといわれています。
バランスの取れた食事をしっかり摂り、適度に体を動かして質のよい眠りを十分に取ることで十分なのです。
特に成長ホルモンが作られる原料となるのはお肉や魚類・豆類などのタンパク質なので、意識的に摂ることを心がけましょう。
ただし、眠りの質がよくないと成長ホルモンが効率よく分泌されなくなります。くり返しますが、成長ホルモンが分泌されるのは主に寝ている間の、深い眠りについているときに活発に分泌されます。先述のとおり、就寝直後1時間ほどの間に現れる眠りの深い「ノンレム睡眠」の最中です。
このときに深く眠れるほど成長ホルモンの分泌が活性化しますが、眠りが浅いとうまく分泌されない場合があります。
規則正しい生活と偏らない食事、適度な運動をする習慣をつけて、質のよい深い眠りを得られるように普段から工夫を怠らないようにしましょう。
意外と知られていませんが、成長ホルモンは大人になっても分泌されるホルモンです。その働きは加齢とともに徐々に減っていきますが、健康を維持するために必要なもの。しっかり寝る習慣をつけて、成長ホルモンの重要な働きをサポートしてあげてくださいね。