
「早起きは三文の得」ということわざがありますが、これはどんな意味があるのでしょうか?
ということを医学的に説明していこう、というのが、今回のお話になります。快適な睡眠のためのヒントがそこにはあります。
起床時刻を一定にするのが安眠の近道
「起床時間で気をつけなければいけないことはありますか?」という疑問を持たれている方は少なくないと思いますが、この答えはタイトルにもありますが、
毎朝一定の時刻に起きる
ということに尽きるでしょう。
自律神経と体内時計の狂いをなくすという意味でも、このことは非常に重要です。「毎朝一定」というリズムを、体に刻みつけていくのです。平日でも休日でも、これはまったく変わりません。
いろいろ理由があって前の夜就寝が遅くなった場合でも、その分起床時刻を遅らせるということはせず、同じ時刻に起きるということが大事になってきます。起床時刻がずれると自律神経が乱れ、長い期間体に不調をきたすことになりかねません。
起床時刻を一定にした方がよいのはなぜ?
では、なぜ起床時刻が一定だと体内時計が狂わず、自律神経が乱れないのでしょうか?
これは季節によって微妙に変わりますが、朝太陽が顔を出すと、自分の意思とまったく関係なく体が太陽の光を浴び、体内時計がリセットされます。
これによって「眠りホルモン」ことメラトニンの分泌が止まり、「幸せホルモン」ことセロトニンの分泌が始まります。
朝日光を浴びることによって、体が「睡眠モード」から抜け出し、またセロトニンの分泌によって自律神経を正常にしていくのです。またセロトニンは、安眠を妨げる「うつ状態」からも遠ざけてくれます。
つまり、朝の日の出周辺の時間帯は、体内時計にとって非常に重要な時間帯となり、ここでまだ眠っているということは身体のリズムを大きく狂わせることになります。
というわけで、起床時間を一定にすることは朝の日光を浴びる上で必要ということがわかりましたが、この朝の日光をうまく浴びる方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
朝の日光は、起床から出勤までで3トータル0分浴びているのが理想といわれています。ですので、この理想にできるだけ近づくために生活活動をすればよいのです。具体的には、
起きたらカーテンと窓を開ける
朝食、歯磨き、化粧などの行為を、できるだけ窓際で行う
通勤時は窓際に陣取る
移動時はできるだけ地下道を通らない
出社後もできるだけ陽のあたる場所で活動する
あたりになるでしょうか。「うまく」というよりは、とにかく積極的に日光を浴びにいくという姿勢が大事になってきます。
あと寝室の窓辺のカーテンは、寝る時でも20~30cm開けておくと、朝の日光を体が感知しやすくなります。外なら部屋が見えるのがイヤな方は、レースのカーテンと併用するなどして工夫するとよいでしょう。
良い眠りへの一番の近道
このお話を思いきり簡潔にまとめると、
「よい眠り」のために必要なのは「睡眠時間の確保」より「起床時刻の固定化」である
朝決まった時間に起床したら、積極的に日光を浴びることが大事である
ということになるでしょうか。先述の通り、日光を浴びることによってメラトニン、セロトニンの分泌を正常化させることが目的です。
それではみなさん、よい眠りを!